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The simple and fascinating colour scheme of Olimpia Zagnoli’s shapes

色と形の申し子ともいえるオリンピア・ザニョーリは、1984年モンテッキオ・エミーリアで生まれました。画家の母とデザインフォトグラファーの父のサポートにより、デザイナー、イラストレーター、アーティストとしての才能を育み、ミラノのファッションデザイン専門学校(IED)で学んだ彼女は、ブルーノ・ムナーリやリッカルド・スカリー、シャルロット・ペリアン、さらに1960年代のグラフィック・デザイン、未来派、パブロ・ピカソについて深く学ぶことで、自らの表現のアイデンティティを綿密かつ丹念に追求し、その才能を開花させました。柔らかなフォルムと鮮やかな色が特徴的な数々の作品により、ザニョーリは最も有名で優れたイタリアのイラストレーターのひとりと評価されています。万華鏡のようにカラフルで多様性に富んだこのアーティストのイラスト表現は、10年にわたるキャリアのなかで止まるところを知りません。実際にThe New York Times紙、Taschen社、Penguin社、Apartamento Magazine誌とコラボレーションしているほか、子ども向けの絵本「Il mondo è tuo(せかいはきみのもの)」と「signor Orizzontale e signora Verticale(横おじさんと縦おばさん)」の2冊で挿絵を担当。GoogleApple、バリラ、FiatIlly、ユニクロのキャンペーンではキュレーションを手掛け、スウォッチ、FendiDiorMarella、プラダをはじめとするファッション界のブランドやメゾンともコラボレーションしています。しかも、こうした活動と並行して、ミュージックビデオやデザイン雑貨、世界中で開催されている数多くの個展で展示されたインタラクティブな彫刻などの視覚的実験を通じて、オリンピア・ザニョーリは、自身の芸術的探求を深めているのです。

Olimpia Zagnoli designer and artist - a journey through her artwork

Olimpia Zagnoli designer and artist – a journey through her artwork

Olimpia Zagnoli designer and artist - a journey through her artwork

Olimpia Zagnoli designer and artist – a journey through her artwork

 

つまり、彼女のイニシャルであるOZというサインは、カラフルなファンタジーの代名詞であり、デザインやプリント、ネオン、ファブリック、彫刻に新風を吹き込む新鮮味あふれるナチュラルなイメージのシンボルです。作品の基盤である「色」そのものが、彼女のアートのエッセンスとして、一つひとつの作品を特徴付ける決め手になっています。作品が誕生する過程はこうです。紙の上で色鉛筆やペンを思うままに動かしながらアイデアを模索する中で、徐々に形が決まり、それをデジタル化してから、加工して調整します。ここでようやく色の出番です。時には50もの異なる組み合わせから色が決められます。前述のとおり、色が作品のエッセンスであり、決め手となるからです。ザニョーリが生み出すフォルムはシンプルで小さく、まさにこのフォルムこそが、シンプルなアートの核心です。このビジュアルな詩は無限のスケールで自由に表現され、自身のアートを自由に創作するときでも、大手ブランドからの依頼やコミッションの場合でも変わりません。また出版分野でも同様です。彼女が手がけた2冊の絵本では、子ども向けの出版物として、デザインに対する自らのアイデアに忠実でありながら、対象である子どもたちを尊重し、インスピレーションを与えながら、話に引き込んでいます。オリンピア・ザニョーリが得意とするアートとブランドの融合とは、つまり、アイデアを最も広範に展開したものと、同一の好奇心を最も内面的な形で表現したものとを結びつけることなのです。

Olimpia Zagnoli designer and artist - a journey through her artwork

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アーティストは世界に対する批判精神を養うべきだという前提を踏まえ、彼女のイラストにはよく、社会に対する自身の考察も反映されています。メラーニア・ガッツォッティ監修のもとLazy Dog社から出版された『Caleidoscopica(カレイドスコーピカ)』は、ザニョーリのここ10年間の活動を称えたもので、直線や繰り返しのようなフォルム、あるいは食べ物、キス、性、自然、建築のようなテーマで分類された100点以上の作品がまとめられています。この本に収録され、New York Times紙上でも発表された「178 ore di isolamento a Milano(ミラノでの178時間の隔離)」や「Illustrazione sul confinamento(境界のイラスト)」は、新型コロナウイルスのパンデミックによるイタリアでのさまざまなロックダウンで強いられた経験から生まれたものです。スタジオを離れて家での創作に戻ることが、実家の自室でイラストを描いていた活動当初の頃のように、インスピレーションの源泉になったと、この作家はインタビューでも語っています。

Olimpia Zagnoli designer and artist - a journey through her artwork

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Olimpia Zagnoli designer and artist – a journey through her artwork

 

ザニョーリのイラストが次に到達するのは、どのような境界なのでしょうか?最近は、Tシャツからポケットティッシュの袋に至るまで、あらゆる表現形式で物の立体性との関係を追求しています。「空間」というテーマに興味を引かれていると自認している彼女は、自らの力を試すがごとく、常により大きな空間に挑んでいます。つまり、シンプルさと好奇心、軽やかさと個性で、形と内容、自然とアイデアを凝縮しているのが、オリンピア・ザニョーリの作品なのです。

olimpiazagnoli.com