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Innamemorabiliamumbum

第21回モダン&コンテンポラリーアートフェア
と時期を同じくして、ミラノで1920年代に建
築家ピエロ・ポルタルッピによって設計され
たデカダンスの魅力に溢れる、かつてデイタ
イムホテル(高級スパ)であった、アルベルゴ
・ディウルノ・メトロポリターノ(後にアルベル
ゴ・ディウルノ・ヴェネチア)では、マッシミリ
アーノ・ジオーニとビンチェンツォ・デ・ベッ
リスが計画したイギリス人アーティスト、サラ
・ルーカスのサイトスペシフィックアート展、
Innamemorabilamumbumが開催された。
プロジェクトは2016年4月8日から10日まで
の期間で企画され、ニコラ・トラサルディ財
団とMiArtとFAIのコラボによって実現に
至った。
ヴェネチア門の下に位置する地下鉄ポルタ・
ヴェネチア駅のエントランスにほど近いスペ
ースに、ポルタルッピ設計の、ボディケアに
理容室や美容室といった施設が併設された
エレガントで洗練されたアール・デコ様式の
幻の高級スパがある。そこは、人体とその奥
深くにある欲望をテーマとするサラ・ルーカ
スの作品の展示には、まさにうってつけの場
所であった。キュレーターは、サラ・ルーカス
の難解な作品との相互作用を狙い、演出家
マイケル・クラークとミュージシャンのジュリ
アン・シモンズを招聘し、展覧会をより興味
深いものへと導いた。
ルーカスによって考案・制作された作品の
形は、現在社会において隠されたり廃止さ
れたりした何かを、人体もしくはその一部が
持つ機能を通して表現しており、衝撃的で猛
烈な破壊力を持っている。つまり、ジオーニ
とデ・ベッリスが、アルベルゴ・ディウルノ・
ヴェネチアのようなボディケアに関わる場所
を、現在の社会の規範の背後に潜む恐怖と
欲望を彷彿とさせるサラ・ルーカス作品の展
覧会場としてチョイスしたことは特に驚きで
はないのである。

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