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The Polytechnic of Fashion: from Mug Magazine’s idea to its fulfillment.

産業界での高い評価を軸に、確固たる揺るぎな
い地位にある事は、イタリアのヴェネト州にとって
誇らしい事実である。フットウェア、革製品、ニット
ウェア、衣服、ジュエリー、家具、アイウェアといっ
た、メード・イン・イタリー製品の主要分野でも、
同地域で生産された製品は、当然のごとく極め
て高い評価を得ており、ヴェネト州が世界中の贅
沢品の生産に、多大なる貢献をしているのは間違
いないだろう。
この地域の強みである創造的なスキルは、歴史と
深く関わりがあり、50年から60年という長い時間
をかけて大きな発展を成し遂げて来た。紛れもな
く、かつてのヴェネチア共和国は、国際的な貿易
と文化の都市であり、芸術活動と産業発展に開
かれた重要なランドマークだったのである。
当時、ヴェネチアの様々な学校は、職人の育成と
産業分野で活躍する有能な人材を輩出する戦略
的なマンパワーの基点という役割を担っていた。
教育を受けた人々によって、やがて、洗練された
知識と専門的技術が地域の特徴となって行き、
使用素材や加工技術、美的感覚、最高品質の物
を創るというプライドが、ゆっくりと、しかし着実
に、ヴェネト州の集団文化として浸透していった
のである。
Polytechnic of Fashion and Footwear - an Italian excellence
リヴィエラ・デル・ブレンタのヴェネチア人貴族の
大邸宅内に在る、最も贅沢なフットウェアが生産
されている場所で、Politecnico Calzaturiero
( フットウェア工芸大学)が、約100年前から続く
偉大な伝統を継承した。1923年にモデル制作を
目的にピサーニ邸内に設立された学校は、当時
イタリアとヨーロッパにとってのユニークな試みで
あった。学校は、2001年に工芸大学となり、それ
以降、常に、洗練された加工技術に最高級品の
文化、アートデザイン、新しいテクノロジーを上手
く取り入れて来た。現在、大学は世界中の芸術と
ファッション関連学校の交流の拠点として、フット
ウェア分野での研究とイノベーションのベンチマー
クとなっている。
Polytechnic of Fashion and Footwear - an Italian excellence Polytechnic of Fashion and Footwear - an Italian excellence
企業家や専門家、フットウェア技術者など、教師を
職としていない人々が教鞭を執り、それぞれの知識
と経験を若い世代の育成のために伝授し、その指導
の下、学生たちはフットウェアを自ら考え、デザインを
し、最終的には世界で求められているシューズの制
作までを学んでいる。
地域の労働人口1万人の内の殆どは、この大学の出身
者であり、大学と工場を舞台に繰り返される見事な
好循環の実証となっている。地域に拠点を置くフッ
トウェア工芸大学の存在が、高い雇用率の維持を
支え、結果として世界中の高級ブランドのベンチマ
ークであり続けているのである。
Polytechnic of Fashion and Footwear - an Italian excellence Polytechnic of Fashion and Footwear - an Italian excellence
約10年前に同大学は視野を広げ、クラシックなフッ
トウェアからスニーカーや皮革製品へと研究分野を
移行させた。また現在は、テキスタイルや衣料分野
の優良企業からのサポートと技術協力を得て、ファッ
ション工芸大学の創設という、大学のさらなる野心
的チャレンジに取り組んでいる。知識と芸術と伝統、
さらに美的感覚と技術的スキルが、これほど集中し
ている地域は、世界のどこを探しても他には見当たら
ない。まさにここで、ウールの生産から織物の製織、
繊維の品質向上に至るまでの、クオリティーの高い
加工が考案され、創作されているのである。
ファッション工芸大学は、非常にシンプルな考えに焦
点を当てている。それは、フットウェア分野で培った
経験を、知識とスキルの宝庫である企業を通じて、
他の分野へと活用し、地域の優秀な人材の尽力を得
て、優れた教育機関を形成する事である。
Polytechnic of Fashion and Footwear - an Italian excellence Polytechnic of Fashion and Footwear - an Italian excellence
つまり、このフットウェア工芸大学は、地域での大き
なプロジェクトの起点となっているのである。取り組
むべき問題は、単に市場に不足しているスキルの需
要を満たすことだけではない。失われつつある地域
の古来からの貴重な知識を後世へしっかりと伝え、
若者やその次の世代の人々を正しい方向へと導き、
大きなチャンスへと繋げる事。また、地域に根付いた
歴史を継承する企業のさらなる発展を促し、素晴ら
しい製品を作り出す彼らのノウハウ、芸術、歴史の世
界的な認知度の向上も目論んでいるのである。